2016九州PCカンファレンスの記事が掲載されました
日経BP社「教育とICT Online」→「コンピュータ活用教育」の研究・交流イベントにおいて、2016九州PCカンファレンス in おおいたのレポート記事が紹介されました。
詳細は、こちらをご覧ください。
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九州PCカンファレンスinおおいたが 「IoT時代に生きる若者たち ~おんせん県の新たな源泉~」をテーマに2016年11月5日(土)~6日(日)に大分大学において開催された。
カンファレンスは西野実行委員長(大分大学)のご挨拶に引き続き科学技術振興機構さきがけ専任研究者の藤木淳氏による基調講演Ⅰ 「物理の人間化」で幕を開けた。
藤木氏はPSPゲームの「無限回廊」を初めとする、ゲームや映像作品を監修してきた研究者であり、 基調講演では研究成果物がデモを交えて紹介され、聴衆はその世界に引き込まれた。 その成果物の魅力は文章や静止画ではとても伝えきれるものではないので、 ご興味のある皆さんには氏のWebサイトなどから作品群を一度ご覧頂きたい。
氏は制作にあたってのキーワードとして「外への接近」と「内なる探求」の2点を挙げていた。 「外への接近」は外=体験者に向けた導入や体験のデザインであり、「どうやって体験者がすんなり入っていけるのか」という点を考えているという。また、「内なる探求」は内=自らの関心「こうすればどうなるかな」 を中心においた実験的アプローチであるという。そして両者の相互触発を常に意識しているという。 この点は、教育における実践と研究の両立にも繋がるスタンスであるように思われた。
基調講演1の後はITフェアが開催され、出展31社により、パソコン、プリンタ、電子黒板、サポートサービス、教材やコンテンツなど多岐に渡る最新あるいは今後発売予定の商品・サービスの展示やデモが行われ、参加者との活発な情報交換が繰り広げられた。それらの商品・サービスは今後、各生協を通じて教職員や学生に届けられることが期待される。
続く基調講演Ⅱは「地方から世界へ~コンテンツビジネスを通して観る世界から」。モンブランピクチャーズ株式会社エグゼクティブプロデューサ平田武志氏と西日本テレビ 事業局長 木下茂憲氏のトークショー形式で行われた。
【モンブランピクチャーズ 】http://mtblanc.jp/
海外5カ国で同時公開、イタリアでは250館以上で上映されたアニメーション「放課後ミッドナイターズ」http://afterschool-midnighters.com/ のプロデューサである平田氏から聴き手へのメッセージは「人生のうちだいたいのことはPhilosophy(思想・思い)とPassion(情熱)を持って、Action(行動)していけばなんとかなる。」というもの。このメッセージに沿って「シン・ゴジラ」や「君の名は」といった最近のヒット作を中心に、コンテンツビジネスの今についてトークが展開された。
印象に残ったのは「ネット時代の今、東京というフィルタを考えなくてもよくなりつつある。以前はコンテンツを売っていくには『東京を通らなければ 』というところがあったが、今や、東京で成功しなければ海外に進出できないということは無くなってきている」という指摘で、これは地方発のコンテンツビジネス(エンタテイメントのみならず教育コンテンツも含め)の可能性を強く感じさせるものだった。
その後の懇親会では、大分大学生協による心のこもった大分郷土料理や大分産の食材を活かした料理、地酒やワイン、焼酎などの飲み物に舌鼓を打ちながら参加者同士の交流が深められた。
2日目の午前中は3つの分科会が行われ、様々な分野の研究や実践に関する7件の発表や、電子教材に関するワークショップが行われた。
カンファレンスの最後はシンポジウム「新しい時代を生きる若者たちを育てるために取り組み ~学校教育現場と大学における教職員への支援・人材育成~」。大分大学の山下茂氏の進行のもと、パネリストの大分大学教育福祉科学部4年生の久保拓史氏、大分県教育庁教育財務課情報推進班の土井敏裕氏、佐賀大学全学教育機構教授の穂屋下茂氏が報告を行った。
久保拓史氏は現役大学生の立場で、Microsoft OneNoteを用いた授業ノートの集約や再利用といった自身の学習方法や中学校での教育実習における動画を用いた生徒の動機付けを紹介した上で、大学生にもっとパソコン・タブレットに触れる機会を増やすことやICTを楽しむための情報教育の必要性を提起した。
土井氏は小中学校CIO研修、「スマートデバイスを活用した学校・市町村における授業作りの先駆者、授業デザイナー」であるICTスマートデザイナーの育成や支援の事例について、行政の立場から報告した。氏はICTスマートデザイナー育成事業を通じて見いだした教育のICT活用指導力向上のキーとして「必要な機器が常時使える環境」「協働できる仲間の存在」「適度なミッション」「研修、指導体制」「サポート体制」の5つを挙げ、研修と整備の一体化、県と市町村の密な連携の必要性を述べていた。
【大分県教育庁教育財務課】 http://kyouiku.oita-ed.jp/zaimu/
佐賀大学全学教育機構教授の穂屋下茂氏からは佐賀大学ICT活用教育共同利用拠点「クリエイティブラーニングセンター 」について、その背景となる大学教育改革の必要性を述べた上で、クリエイティブラーニングセンターの体制や取り組みが報告された。
【佐賀大学eラーニングスタジオ】 http://net.pd.saga-u.ac.jp/e-learning/
また、大分大学の山下茂氏からも大分大学の取り組みについて報告された。
【大分大学高等教育センター】http://www.he.oita-u.ac.jp/
活発な質疑応答の後に、コーディネーターの山下氏よりまとめとして、本カンファレンスのテーマでもある「IoT時代」に向けたステップとして、学校現場での授業において普通にICTが活用される前提での学力の再定義と再構築の必要性が述べられ、シンポジウムは締めくくられた。
九州PCカンファレンスinおおいたは約160名の参加者を得て成功裏に幕を閉じた。生協職員、学生、教員・研究者、ICT関係者が一体となった交流や議論が今回も大変に活発に行われ、今後の九州内外の連帯が大いに期待された。主管となった大分大学生協のきめ細やかな「おもてなし」に心から感謝したい。
2016年12月4日(日) に開催するCIEC第110回研究会では、入館証の発行をおこなうため、11月28日(月)までにお申し込みください。。
参加申し込みは、告知ページのフォームから行えます。みなさまのご参加をお待ちしております。
2016年11月26日(土) に開催するCIEC第109回研究会では、入館証の発行をおこなうため、11月23日(水)までにお申し込みください。。
参加申し込みは、告知ページのフォームから行えます。みなさまのご参加をお待ちしております。
PCカンファレンス北海道2016が、10月22日(土)と23日(日)、札幌学院大学で開催された。プログラムは、分科会 10月22日(土)9:40~12:00、10月23日(日)9:40~12:00、特別講演10月22日(日)13:00~15:30、パソコンテイク(情報保障)体験16:00~17:00である。
ここでは、初日に行われた、特別講演と体験学習パソコンテイクについて報告したい。
講演1は筑波技術大学 三好茂樹 氏による『聴覚障がい学生の修学支援とICT』であった。情報保障、遠隔情報保障の事例、音声認識の利用などが主たる内容であった。情報保障とは、身体的な障がいにより情報を収集することができない者に対し、代替手段を用いて情報を提供することである。現在、日本の高等教育機関において行われている聴覚障がい学生の情報保障において、代表的なものは、手書きによるノートテイク、パソコン要約筆記、音声認識ソフトの活用などの「文字による支援方法」、「手話による支援方法」などがあげられる。氏は、インターネットを使用した情報保障についての事例を挙げられ、その後、携帯電話を活用した聴覚障がい者向け「モバイル型遠隔情報保障システム」を紹介された。システムは、構成がシンプルで、「話者の音声を即座に字幕化し障がい者へ送信するための通話機能」と、「字幕を受信・表示するための機能」の2役を同時に兼ねる1台の携帯電話、話者の音声を取得するためのマイクロホンの2つの機材のみで作動する。日本聴覚障がい学生高等教育支援ネットワーク「PEPNet-Japan」に詳細が記載されている。次に、音質を改善し、保障者側にかかる技術的な負荷を取り除くシステムT-TAC Captionの利便性についての解説がなされた。まとめの中での、遠隔情報保障によって、人材のシェア、地域格差の解消、自由度の高い受講スタイルの提供、聴覚障がい学生の積極性を引き出す効果があるというところが印象的であった。
講演2は、千歳科学技術大学の小松川浩氏による『北海道における教育の情報化の取組について』であった。 北海道では、地域の教育水準を維持するため、ICTの活用によって、各種教育資源を地域間で相互利用する取組など、広域性を有する北海道の特性に応じた教育スタイルの推進を行っている。北海道のICT整備状況と取組、ICTを活用した教育推進・自治体応援事業、ICTそのものを目的とせず手段として活用することの重要性、メタ認知を身に着けさせるためのICT活用などを解説された。事例紹介としては、英語の授業において、海外との生徒間交流のために、事前指導でアクティブラーニングとしてICTを利用し、語学力のみならず学習意欲の向上において効果があったことを述べられた。
両講演の後、約1時間程度の質疑応答が行われたが、講演内容を深めることができる有意義なものであった。 その後の体験学習パソコンテイクでは、札幌学院大学の学生による、ハンズオンによるワークショップが行われた。連動して流れてくる音声を、学生二人が「あうん」の呼吸で入力していき、それが障害学生のスマートフォンどんどん送らてくる仕組みを実体験した。瞬時である。聴覚障がい学生への支援のためのICTの役割として、貴重な役割をはたしていると言えよう。
2日間にわたる分科会では、28件の発表があり、その中には、実践に基づくもの、萌芽的研究、北海道の特性を生かした指導展開等、教育的効果ある有意義なものであり、今後の北海道支部の活動が期待できるものであった。
報告: 吉田晴世(CIEC副会長理事)