開催趣旨

ここ十数年来、大学生協では新入生向けのパソコン提案を重点的に行ってきました。提案内容も、「価格が安い」、「必要なものがそろう」といった販売中心のものから、セットアップに始まり、アプリケーションやインターネットなどにわたるパソコン講座、学内環境にあわせたサポートなど、活用スキルアップに重点をおいたものへと変遷してきました。

2004年に大学に現役合格した新入生は、新学習指導要領に基づき、義務教育における情報教育に加え、高校での『教科「情報」』を受けてきた最初の世代となります。また大学においても、パソコンの必携化の動き等、ますますパソコンの活用の場面はふえていくことが予想されます。

しかし、実際のパソコン講習の場面では、日本語入力やマウスの操作を教える必要のない学生が増えつつある一方で、依然として初心者程度の操作に不安を持つ学生もまだまだ見受けられます。そういった意味では、大学生協をパソコンの購入先として選択する学生が求める提案内容とは何なのかを、私たち自ら改めて問い直す必要があるように思います。

第46回研究会では、そのような大学生協のパソコン提案活動をめぐる状況の変化をふまえ、特徴的なパソコンの提案活動を行っている東京学芸大生協と福島大学生協の事例についてご報告をいただきます。

東京学芸大生協では、昨年、大学がパソコン必携化をうちだした際に、学内でのサポート環境を整え、新入生の8割約900台を越える利用がありました。昨年同大学の伊藤先生よりご報告をいただき、大学としての意志、教師としての先生方の思いとご苦労、そして生協やメーカーへのご期待を伺うことができました。その後の一年間の様子と、それを踏まえた今年の取り組みについてご報告をいただきます。

福島大生協はこの数年、学生の「使える」という段階から「使いこなす」ということを意識したパソコン提案を進めています。それが「使いこなすパソコン講座~学生生活応援講座」(年間講座44,100円)です。この講座は、1,000名前後の新入生に対して、昨年320名、本年は400名を越える申込者を得る取り組みになっています。この経緯、思いと苦労、実際の受講者の反応などについて、専務理事からご報告をいただきます。

今研究会では、実際にパソコンの供給活動に関わっている担当者、店長はもちろん、情報教育に携わる教職員、また各大学でパソコン講習会の運営に携わってきた学生・院生のみなさんにも参加をよびかけます。 また大学生協にとって、パソコン提案を政策的にどうとらえるかということは、非常に重要な課題であると考えます。そういった意味で、専務理事をはじめ、各生協の理事の皆さんにぜひ参加していただきたいと考えています。

多数の皆様のご参加をお待ちしています。

参加費

CIEC 会員および大学生協組合員は無料、その他の方は500円となっています (どなたでもご参加いただけます)。


プログラム(敬称略)

13:30 - 15:00

講演:「勉強と学び」

  佐伯 胖 (CIEC会長, 青山学院大学教授)
15:10 - 15:55

実践事例

  下山 裕子 (小野市立大部小学校教諭)
橋場 弘和 (神戸大学発達科学部附属明石中学校教諭)
吉田 賢史 (甲南高等学校・中学校教諭)
16:00 - 17:00

討論まとめ

講演要旨

青山学院大学 / 佐伯 胖

「勉強」ということばは、習得すべき知識や技能があらかじめどこか(学習者自身とは別のとろころ)で決まっていて、学習者は、それを一定の定められた時間内で習得しなければならないという義務感、あるいは外部(教師、親など)からの圧力(プレッシャー)のもとに行われることである。それに対し、なんらかの「のぞましいこと」(いわゆる「善い」こと)が、「わかるようになる」こと、あるいは「できるようになること」が、外部から与えられた基準(達成度や習得時間について「・・・ねばならない」とされること)とは無関係に、学習者自身の自己決定(コミットメント)にもとづくなんらかの実践活動を通して、結果的に「わかるようになる」、あるいは「できるようになる」という事態に至ることを、「学び」と名付けてみよう。もちろん、人は「学び」だけで生きていくわけにはいかず、たまには「勉強」も必要だ。だが、「勉強」だけでも生きていけないことも確かだ。したがって、私たちの課題はこの両者の違いを認めつつ、両者をどのように関係づけて、あたらしい「教育」を切り開くかが大きな課題となる。

参加費

無料 (どなたでもご参加いただけます)。


開催趣旨

中学校では、技術家庭に必修化された「情報とコンピュータ」領域が、高等学校では、新教科「情報」がスタートして1年が過ぎました。自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむために、既存の教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習の実施を目指す「総合的な学習の時間」も多く行われてきています。

また、2005年度までに国内すべての学校のすべての教室にコンピュータと高速インターネットが準備されることになっています。教科「情報」以外の教科についてもさらにわかりやすい授業を作るために教育現場全体を IT 化し、さまざまな先生が、情報機器を利用するだけでなく、学校や地域が有機的に組織的にそして、効率的に高度に情報化を行うことができるようになってきたように思われます。

世界最大の半導体メーカであるインテル社は、ワイヤレスコンピューティングをベースにしたモバイルコンピューティング分野にも重点を置き、新たなコラボレーションツールの提案を行っています。また、教育とテクノロジの融合を目的として教育支援活動を行い、科学、数学、エンジニアリング、テクノロジなどに関する教育の向上を通して、学生と地域社会に貢献する教育支援プログラムを展開しています。

アップルコンピュータ株式会社は、世界中の学生、教育者、プロのクリエイターそしてコンシューマに、革新的なハードウェア、ソフトウェア、およびインターネット関連の製品・テクノロジを通じて最高のパーソナルコンピューティング環境を提供しています。

東京大学では、この4月より、UNIX 端末として iMac 1149台の NetBoot 環境が稼働しはじめておりますし、このほかにも、さまざまなプラットフォームのコンピュータが混在するネットワーク環境を、最新テクノロジーで効率的に管理・運用を行っている教育システムが、増えています。

この研究会では、インテル社とアップルコンピュータをお招きし、事例報告を交えながら、ワイヤレスコンピューティングの急速な変化とこれからの方向性や、ストリーミングなどのマルチメディア関連に強い Unix ベースの Mac OS X についての最新の話題をわかりやすくお話しいただく予定です。そして、少しでも、これからの教育や研究現場で活用する上でのヒントになれば幸いと考えています。

プログラム(敬称略)

報告

1:330 - 14:50 (10分ほどの質疑応答を含む)

「最新の次世代モバイル CPU とワイヤレスコンピューティング」

  株式会社インテル
プラットホーム&ソリューションマーケティング部 菅原 直人
15:00 - 16:20 (10分ほどの質疑応答を含む)

「アップルコンピュータの最新テクノロジーによる教育活用」
~教育現場に於ける Mac OS X の導入事例~

  アップルコンピュータ株式会社 ディベロップメントエクゼクティブ
サーバーソリューション 安田 伸幸
16:30 - 17:00

質疑応答

参加費

CIEC 会員は無料、その他の方は500円となっています (どなたでもご参加いただけます)。


2003年度のプロジェクト事業には以下の8件が選ばれました。

学生と共に作るマルチメディア英語学習教材

代表者:竹内 勝徳 (鹿児島大学)


支給額:20万円

統計科学教育・学習のためのデータ及び解析シナリオ集の作成

代表者:宿久 洋 (鹿児島大学)
支給額:30万円

留学生のための科学技術日本語教育 e-Learning 化に伴うコンテンツ制作用テンプレートの開発研究、及び同 Learning Objects 発信システムの検証と開発研究

代表者:山本 敏幸 (金沢工業大学情報処理センター研究員)
支給額:30万円

情報環境支援プロジェクト (小中高部会)

代表者:奥山 賢一 (竜王町立竜王小学校)
支給額:40万円

次世代型 e-Learning 規格に基づくマルチモーダル外国語学習教材の制作

代表者:野澤 和典 (立命館大学)
支給額:30万円

情報教材作成プロジェクト (小中高部会)

代表者:武沢 護 (神奈川県立厚木南高等学校)
支給額:40万円

SMIL を用いた Multi-Media 教材の作成と授業への適用に関する実践的研究

代表者:森 夏節 (酪農学園大学)
支給額:30万円

大規模中国語語法コーパスを利用した Web 中国語動詞句辞典の開発

代表者:砂岡 和子 (早稲田大学政治経済学部)
支給額:30万円

プロジェクト事業活動における成果物


開催趣旨

米国政府系機関 International Broadcasting Bureau (IBB) を通じて提供される Voice of America (VOA) のビデオ素材は教育目的の利用に限り、著作権に抵触することなく二次利用することができます。

これらの良質な視聴覚学習素材をコンピュータ支援による言語学習 (CALL) の現場で有効に活用するには、デジタルビデオの編集加工と配信技術、分散型の能動学習を実現するための体系的なコースウェア構築が不可欠です。

外国語教育研究部会では、そうした動向を考慮しながら、ネットワーク委員会の協力の下で、複数の教育研究機関で共同利用可能な英語 e-Learning コンテンツの作成を試みています。

これまでの準備経過としては、まず、幾つかの VOA プログラムを衛星受信設備を使って受信、DVD 録画しました。次に、各プログラムのビデオ・データを、ノンリニア編集・ファイル変換し、ストリーミング方式で外部配信しながら、プロジェクト・メンバーの所属する大学や自宅での受信状況を検証しました。その結果、VOD コンテンツの閲覧自体については、ファイル形式の如何に関わりなくほぼ安定した状態で受信できるものの、利用する端末が接続しているネットワークの環境、ファイア・ウォールの有無の他、OS の相違によって受信状況に相当の差があることが判明しました。

本部会では、プロジェクト・メンバーの分担作業により、スクリプトの書き起こしを行い、それを元にどのような学習内容を構築できるかを検討しながら、教材作成を進めています。今回の研究会は、各担当者から開発経緯や問題点などを含めて中間報告してもらい、会場からの質疑応答等を通じて今後の開発改善に寄与することを目的とします。

プログラム(敬称略)

報告

1.「実験用サーバの運用とコンテンツ作成環境について」
  上村 隆一 (北九州市立大学)
2.「VOA素材を利用したオンライン・パーシャルディクテーション教材の開発
  吉田 晴世 (大阪教育大学)
3.「VOA配信素材Snapshotを利用した教材開発(1)」
  松田 憲 (立命館大学)
4.「VOA配信素材Snapshotを利用した教材開発(2)」
  野澤 和典 (立命館大学)

討論と意見交換

  司会 カンファレンス委員

参加費

CIEC 会員は無料、その他の方は500円となっています (どなたでもご参加いただけます)。