本研究会を Ustream で配信いたします。
チャンネル: http://ustre.am/FuVr または http://www.ustream.tv/channel/ciec第94回研究会

開催趣旨

学習者が計算結果を解答する数学のドリルコンテンツは、コンピュータの演算機能を活用した e-Learning コンテンツとして早くから注目されてきた。ここで、数式を入力するドリルを扱う際には、学習者が入力した数式が正解と等価であるかを評価する仕組みが必要となる。この問題を解決するために、数式処理システムと連携するドリルシステムが提案されてきた。さらに今日では、学習マネジメントシステムと連携する数式自動採点の枠組みも提案されている。

そこで、本研究会では、学習者の入力した数式の状態にあわせて細やかなフィードバックを行うことができ、学習マネジメントシステム Moodle と連携する数式自動採点の枠組みである STACK と、学習者の解答が正解であったかを判定するだけではなく、式展開を追跡し、複数行の数式の中から、間違った箇所を指摘することが可能な人間の教員による数式の採点に似た自動採点システムについて紹介する。

プログラム

13:30 - 15:00
[ 講演1 ]

数学eラーニングシステムSTACKの日本語化総括、機能拡張、および活用事例
講師 中村 泰之 氏 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
講師 中原 敬広 氏 (合同会社三玄舎)

要旨

eラーニングのコンテンツとして、数学や物理などの数式が必要な場合場合、数式を数式として扱うことは、非常に困難である。よくある学習コンテンツとでしては、初期条件やパラメータを設定することで結果をシミュレーションするものや、センター試験のように数字で各桁を答えるもの、また、多肢選択式から選択して解答するものなどが多く、数式そのものをそのままの数式で解答した場合には、正誤評価はできないものがほとんどである。ここでは、数学オンラインテスト評価システムSTACK(System for Teaching and Assessment using a Computer algebra Kernel) を用いて、Web 上で数学の問題を解き、 その解答を数式として正誤評価を行い、LMSであるMoodle と連携させることにより、数式を扱う自然科学教育のためのe-Learning システムとしての概要を紹介するとともに、日本語化総括、機能拡張、およびいくつかの活用事例について報告する。

15:00 - 15:20
[ 質疑応答 ]
15:20 - 15:30
[ 休憩 ]
15:30 - 16:30
[ 講演2 ]

数式処理システムを活用した記述式数学ドリルの自動採点
講師 篠田 有史 氏 (甲南大学情報教育研究センター)

要旨

数学のeラーニング教材として、学習者が入力した数式を自動採点するドリルを構築しようとする場合、入力された数式と正解の数式とが、数式として等価であるかを評価して採点することが求められる。このような自動採点システムの開発では、従来は、希望する採点動作を実現できるよう、数式を評価する仕組みを検討する所からスタートする必要があった。しかし、今日では、数式処理システムを持つ多彩な機能を利用して、学習者が入力した数式を評価することが可能となっている。本研究では、数式処理システムMaximaを用いて作成した数式評価サーバと、複数行の数式入力を受け付ける数式管理クライアントとを組み合わせた記述式数学ドリルを構築する。このドリルは、正解に一致するといった観点からの評価だけではなく、学習者が入力した数式の連続性による評価が可能であり、細やかなフィードバックによる新しいオンライン学習体験の提供を目指したものである。

16:30 - 17:00
[ 質疑応答・意見交換 ]

参加費

無料 (どなたでもご参加いただけます)。


開催趣旨

様々な e-Learning の活用が進められており、講義資料や理解度テストなどだけでなく、ソーシャルネットワーキング機能などの協調学習を支援する利用も増えている。今回の研究会では、映像の利用に着目して討議を行う。単なる講義映像は各大学の OCW (Open Course Ware) でも提供されているが、それに留まらない映像の利用方法や協調学習を行うためのしくみについて考えたい。

プログラム

13:30 -
[ 開会挨拶 ]
13:30 -
[ 講演1 ]

映画で英語を磨く自習学習プロジェクトにおけるmoodle活用のためのポイント
講師 大倉 孝昭 氏 (大阪大谷大学)

要旨

DVD 映画を教材とするWeb-CALL”を開発した。独立したツールとしての試験運用結果報告(国内学会)やWeb Based Education 2009(in Phuket)での学習システム開発の発表を通じ、多くのCALL 実践者・研究者から「自分達も利用したい」という要望を受けた。そこで、moodle 上のコースウェアとしてWeb-CALL を提供し、自主学習で効果的に運用することを目指し、5週間の実践実験を行った。“映画で英語を磨く自主学習プロジェクト”に高い関心を寄せる学習者を集め、2つのグループ(2大学)で行ったところ、グループ間でプロジェクトの修了率に大きな差が出た。提供機器、moodle の利用経験、Web-CALL のインタフェース、タスクの量、学習目標の設定、ファシリテーション(教師の支援)など、さまざまな視点から検討を加え、デモンストレーションと、実践結果の報告を行う。

14:30 -
[ 講演2 ]

自学自修ソーシャルラーニングシステム「学びあい」の構築
講師 吉田 賢史 氏 (早稲田大学高等学院)

要旨

ソーシャルメディアを活用したソーシャルラーニングが注目されている。ソーシャルラーニングには、主に次の2つのアプローチがある。第1のアプローチは、twitterのようなマイクロブログによる「つぶやき」から、教員が学習者のコメントを引き出し、消極的な学生の授業(講義)への積極的な参加を促そうというアプローチである。このアプローチは、一方向的になりがちな講義に双方向性を持たせるという効果がある。これまでは、掲示板やチャットシステムを教員自らサーバーに設置する必要があった。しかし、Twitterのようなマイクロブログの登場により、講義・授業への活用が容易になり、心理的敷居も低くなったと言える。第2のアプローチは、facebookやmixiなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)サイトを活用した「学びの場」の提供である。「学びの場」として、SNS上にクローズドなグループを作成し、その中で教員が講義資料やtwitterによるコメントを共有しようという試みである。これは、Learning Management System(LMS)/Cource Management System(CMS)的な利用方法である。本研究会では、第3のアプローチとして学習者自身がコンテンツを作成する学習形態(Learning by Creating Contents)を紹介する。学習者がコンテンツを作成する手法として、web上でT2VPlayerによるコンテンツ制作システムについては、CIEC第1回研究会で述べている。しかし、当時のシステムは、制作されたコンテンツを学習者同士が共有し、コメントしあう機能は提供されていない。そこで、コメントしあう機能を有しT2VPlayerと連動した学習コミュニティサイト「学びあい」を構築した。このような、学習システムの紹介だけでなく、システムの開発の背景となった学習者の思考スタイルや行動スタイルについて述べ、実際の学習者の反応について報告する。

15:30 -
[ 総合討論 ]
16:30
[ 閉会挨拶 ]

参加費

無料 (どなたでもご参加いただけます)。


開催趣旨

2011年1月の中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」等には、キャリア教育は生涯学習社会の構築を目指し、幼児期の教育から高等教育まで体系的な推進の必要性があると述べられている。キャリア教育の根幹に職業生活を含めた一人一人の幸福な人生設計の重要性があることは、すでに多くの教育者にとって周知のことである。またキャリア教育とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」としており、特定の時間や活動・教科・指導方法で実施するものではなく、さまざまな教育活動を通して実践されるものであるとしている。しかし、現実にはキャリア教育に関する教科書がないため、必要性は十分に意識しているものの、その目的や趣旨を誤解されたまま実践されていることも多い。

キャリア教育において考えると、初等中等教育では高校卒業後のキャリア形成を実現する準備段階と位置づけられており、また高等教育では社会的・職業的自立が目前に迫る時期であり、その内容も広く多岐に渡っている。今回の研究会では、学習論の若手研究者に教育と職場の接続性や、また教育で得られた能力や知識を活用する事例について紹介していただき、参加者がそれぞれの立場や教育活動の中で可能な、キャリア教育について、カリキュラムや生徒に対する工夫などについて、提案し、意見交換する。

この研究会を通して、小中高大さまざまな学校における、各教科・講義担当者のそれぞれの視点から、キャリア教育についてその実践を通して、問い直すことができることを期待する。

プログラム

13:30 -
[ 開会挨拶 ]
13:40 - 14:40
[ 講演1 ]

学習論の変遷と状況論・活動理論からみた看護教育:越境的な学びへ
講師 香川 秀太 氏 (大正大学人間学部教育人間学科 専任講師)

14:50 - 15:50
[ 講演2 ]

教育と活用の間の障壁に潜むもの:研修効果測定モデルの構築を事例に
講師 伊達 洋駆 氏 (有限責任事業組合ビジネスリサーチラボ 共同代表 神戸大学大学院経営学研究科 博士課程)

16:00 - 16:30
[ ディスカッション ]

各学校での体験活動を,どのように次のステージや職場と接続できるか)

16:30
[ 閉会 ]

参加費

CIEC 会員は無料、その他の方は500円 となっています (どなたでもご参加いただけます)。


開催趣旨

政府によるスクールニューディール構想によって、電子黒板が全国の小中学校に配備され、インフラ面での学校のICT環境は整いつつある。CIECにおいては、2010年12月に第89回研究会「デジタル教科書、電子教材の今後」が開催され、電子教材のあり方から活用方法までが議論された。

「教育の情報化」は、学校の授業環境の側面で、着実に進行していると考えられるが、その使い方がわからないなどといった現場での不安があるのも事実である。このような不安に対しては、電子黒板やデジタル教材の実践事例紹介が有効であると考えた。

CIEC小中高部会では、本研究会で電子黒板やデジタル教材を単に「このように使ってみた」という実践事例の発表の場とするのではなく、「この授業を行ったことで、これまでの授業と何が変化したのか」、「子どもたちにとってどのような効果をもたらすのか」などについて、初等中等教育現場としての立場から検討していきたい。また、国外の活用事例報告や従来とは異なった新たなデジタル教材の活用スタイル、電子黒板の利用方法などについてもアイデアを出し合い、これからの初等中等教育のICT活用について、議論を深めていきたいと考えている。

プログラム

13:00 - 13:10
[ 挨拶・開催趣旨 ]
13:10 - 14:10
[ 講演1 ]

電子黒板を活用した模擬授業 (小6年 道徳)
講師 増坪 広夫 氏 (山梨県甲斐市立双葉東小学校 教諭)

14:10 - 14:50
[ 講演2 ]

電子黒板活用環境づくり ~行政及び学校経営の立場から~
講師 奥山 賢一 氏 (山梨県北杜市立高根北小学校 校長)

14:50 - 15:00
[ 休憩 ]
15:00 - 15:30
[ 講演3 ]

海外での実践事例報告
講師 坂野 勝美 氏 (株式会社アスタリスク)

15:30 - 16:20
[ ディスカッション ]
16:25
[ 閉会 ]

参加費

CIEC 会員は無料、その他の方は500円 となっています (どなたでもご参加いただけます)。