「メディア社会における学び」を学術的に探求・実践し,新法人体制を活用して,より社会貢献の進展を進めよう ~ CIEC 法人化にあたって,会員の皆様へ ~

一般社団法人 CIEC 会長理事 妹尾堅一郎
2013年9月

今年2013年8月に「PC カンファレンス 2013」@東京大学の中で行われたCIEC総会において,長年の懸案であったCIEC法人化案が圧倒的多数の会員のご賛同を得て,成立いたしました。 法的手続きの関係で,任意団体CIECと一般社団法人CIECの二つの団体の「リレー」を円滑にするため,その資産や業務の移行に関する実務的「バトンゾーン」期間が少々あるものの,事務局の的確な対応により,移行は順調に推移しています。これからは,一般社団法人CIECとしての活動が本格化してまいります。

学術団体の法人化が求められる中,多くの学会が特定非営利法人,一般社団法人,公益社団法人等への法人化を進めております。法人化によって,活動のさらなる透明化,社会・公益への貢献の進展が求められているからです。いわば,法人化は社会における学会の位置づけを明確にし,その活動基盤の整備・拡充を狙ったものであると言えましょう。このことは他方,法人格をもった学会では,例えば各種の競争的資金の獲得を始め,その活動の拡充可能性を拡げられるとみることができるでしょう。

今回,CIECも,これらの趣旨に賛同し,法人化を遂行することにしたわけです。CIECという学会は,1993年に始まったPCカンファレンスを助走期間として,1996年に任意団体CIECとして立ち上げられました。それ以来の組織的大変革です。

ただし,本会の基本的な立場や方向性に変更が加わるということではありません。また,法人化それ自体はゴールではありません。スタート起点です。法人化をきっかけとして,本会のさらなる活動の発展を会員一同で進めていきたいということが趣旨です。会員の皆様におかれましては,本趣旨をご理解いただき,CIECの次の発展に向けて各自活動を拡充・加速していただければ幸いです。

技術の加速度的進展によるイノベーション(新しい社会的価値の創出)の波がグローバルに生活・社会・産業を加速的に変えていく中で,我々の研究・教育実践活動がさらに大きく貢献できる可能性が拡がっています。 我々は,新時代の「メディア社会における学び」の可能性を探索学習し,その成果を世に問うていくべき時に直面しています。その意味で,挑戦する活動を,法人化されたCIECを舞台に一つずつ皆さんと共に展開していきたいと思います。 つまり,新しい法人体制を活用して,「メディア社会における学び」を探求・実践し,より社会貢献の進展を進めましょう。これが会長理事として,私から会員の皆さんへのメッセージです。どうぞ,よろしくお願いします。

さて,末尾になり恐縮ですが,今回の法人化について,あらためて会員の皆様のご理解・ご協力に感謝申しあげます。また,同時に,事務局長として本件を仕切ってくださった若林副会長理事をはじめとする副会長理事,理事等の執行部の皆さん,面倒な実務対応を粛々と進めてくださった事務局の皆さん・関係者の皆さんに,心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。


開催趣旨

文部科学省のリニューアルされた「教育の情報化」Webサイトには、「ICTの活用等による新たな学びの推進」が掲げられ、教育の質の向上を目指しています。しかし、平成26年の「ICTを活用した教育の推進に関する懇談会」報告書(中間まとめ)によれば、「様々な調査結果から、ICTを活用した教育について、各国と比べると遅れている現状が見受けられるため、その取組を推進する必要がある。」と記されています。

国際活動委員会では、上松恵理子先生(武蔵野学院大学准教授)に、各国の教育の情報化と情報教育についての最近の動向をご講演頂き、各国の動向を踏まえ、ICTを活用した教育の推進に今後どのように取り組むべきかを考えていきたいと思います。

また、本委員会の委員である寺尾敦先生にはレポーターとして参加して戴き、「青山学院大学社会情報学部」で実践されている携帯端末を活用された教育環境からのレポートをお願いしています。 今後、ICTを活用した教育の中で求められている「デジタルネイティブ」と言われる若い世代の能力を生かせる教育環境等々についても、上松先生のご講演・寺尾先生のレポートを頂きながら、参加される皆様と「協働」していきたいと思います。

なお、今夏、富山大学で開催される2015PCカンファレンス(イブニング セッション)では、「海外の情報リテラシー教育を通じた我が国の課題」を企画しました。このセッションにも是非ご参加下さいますようご案内申し上げます。

参加費

CIEC 会員は無料 (どなたでもご参加いただけます)。


CIEC 新会長挨拶 一般社団法人CIEC 会長理事 慶應義塾大学環境情報学部教授 熊坂賢次

このたび妹尾堅一郎会長の後任として、その重責を担うことになりました。最初の職務として、ユニークな学会であるCIEC に期待する教育イノベーションについて、私見を述べたいと思います。

8月のPCCの基調講演でも話したように、今の教育は、その思想・理念から制度・組織さらには現場の日常的な学びの関係にいたるまで、その基本構造からの改革が期待され、しかもその改革は待ったなしの状況にある、と確信しています。

かつての教育では、何を伝授し、何を記憶させ、何を唯一の解答とすればよいか、それらすべてに教師が発信する知識が優先され、その知識をいかに効率的・合理的に学ばせるか、という方法論が優先されてきました。この教育スタイルは、日本人のマジョリティが、「普通の人」でありながら、非常に高いリテラシーを保有する、という優れた教育状況を実現しました。それは、1人の教師で大人数の生徒を教えるのに、教師は懸命に知識を伝授し、生徒は沈黙してしっかり理解し、ペーパーテストで教育効果を測り、そしてその序列で学歴が価値をもつ、という理想な教育モデルでした。

しかしこの成功体験は、すでに足枷でしかありません。豊かさは、普通の人であっても、多様な個性をもつユニークな存在であることを求め、さらに高度な情報環境と多様な情報装置は、それらの身体化を通して、他者との社交的な関係の中で自分を表現する、私が「おしゃべりなロングテール」と呼ぶ、新しい「ふつうの人」の登場をうながします。この新しい社会的存在が求める教育スタイルは、単なる知識伝授を超えて、生徒と教員が協働しながら、「学びながら創り、創りながら学ぶ」という知識創発的なスタイルであり、そこにこそ、CIECらしい教育イノベーションの方向性が見出されるはずです。

たとえば、小学生の植物観察でタブレットを使って授業をしても、ペーパーテストの平均点は上昇しないから、情報機器を使っても教育効果はない、という指摘がよくなされます。この限りでは、その通りでしょう。しかしこの状況でイノベーションは何を求めるのか。小学生個々がタブレットを使って詳細に観察したさまざまな画像を、友達とワイワイ言いながら、みんなで何か細かな事実を探索するプロセスとその成果を共有し議論しあう関係性こそが、教育効果の評価基準ではないでしょうか。とすれば、ここで期待されるのは、ペーパーテストよりも、より深くより詳細な知識の洞察を前提として、もっと個別的で、もっと多面的で、そしてより関係的な評価基準であり、それを新しい基準として制度化することが緊要な課題でしょう。

知識伝授が教育の基本であるとしても、今の時代は、それを超えて、「学び・創る」段階の教育についての個別的で多様な社会実験的成果とその評価基準化を求めています。それは、小中高の教育から大学大学院の研究、さらに社会人教育に至るまで、今の時代状況が求める方向性です。CIECのみなさんが研究活動や社会実践として関与する、高度な情報環境と多様な情報装置こそ、この新しい教育の方向性を無限に広げる社会基盤です。それゆえに、この社会基盤にたって、もっと深く、もっと広く、もっと高く、新しい知識の地平を拓くために、CIECらしい次代の教育イノベーションに貢献しなければと思います。

たとえば、1人の教員と極少数の生徒しかいない離島をネットワーク化して、普段の授業も運動会も学園祭も一緒に楽しむ、そんな離島ネットワーク化教育はもう実践の段階だと思います。ですから、CIECのみなさん、よろしくお願いします。


2004年8月3日

1. 部会の設置
本会は、CIEC会則第3条の事業を遂行するために、各専門領域の更なる進展と活性を期し、部会を設置することができる。

2. 部会の申請
部会設立には10名以上の発起人を必要とし、発起人は次の内容を記した設立申請書を会長宛に申請する。(発起人には、理事を1名以上含むこととする)
設立部会名、専門領域、発起人名簿、世話人(複数)ならびに参画想定人数を含めた設立目的・趣旨、当面の事業計画等(基盤となる研究会活動など)。

3. 設立の承認
会長は、申請にあった設立申請書を運営委員会に諮り答申を得る。
理事会はこの答申をもとに審議し、設立の是非を決定する。

4. 部会の構成員と部会メーリングリスト
(1) 部会の構成員は、CIEC会員とする。ただし、研究会をはじめとする活動において非会員の参加を妨げるものではなく、会の紹介・新規入会への取り組みとして歓迎する。
(2) 部会はメーリングリストを作成することができる。メーリングリストの登録は、CIEC会員・非会員の制限を設けない。

5. 部会の運営
(1) 部会には、部会運営を円滑に行うべく数名の世話人を置く。世話人は、必要に応じて職務を分担し運営に当たる。
(2) 部会の年間活動報告および次年度計画は、世話人が運営委員会に提案し、審議の上、理事会が承認する。
(3) 部会の運営について、理事会が意見を述べ、その活動に関して勧告をすることができる。
(4) 部会が他団体との共催事業の開催など、これに類する企画を部会名称を用いて行うときは理事会の承認を得ることとする。

6. 部会交付金の申請と会計
(1) 下記の事項すべてに該当する部会は、活動に必要な経費の一部として、「部会交付金」の申請を行うことができる。
  1. 連続して2事業年度以上活動実績があるこ と(研究会・メーリングリストなど)
  2. 年度ごとに活動計画の策定および活動報告を行っている (実施している) こと
  3. CIEC会員が50名以上当該部会MLに登録 (年度末・会費完納) されている部会
(2) 「部会交付金」が支給された部会は、世話人内に会計担当を置き、会計報告義務および監査の義務を負う。
(3) 「部会交付金」申請・報告に関わる書式および支給基準等の内規は別途定める。

7. 研究会の補助
(1) 部会が運営主体となる研究会であっても、カンファレンス委員会への申請・承認の手続きを経て、予め予算措置された範囲内で、研究会費用の補助を受けることができる。
(2) カンファレンス委員会への申請に当たっては、年度での開催計画概要および開催2ヶ月前までに開催計画案を提出しなければならない。
* 上記研究会は部会員のみの研究会ではなく、その活動成果を広く公開することを目的としたCIEC全体研究会とするものを指す。

8. 部会の解散
(1) 部会を解散しようとするときは、世話人が次の解散届けを会長宛に提出する。(部会名、解散理由、同意者氏名)
(2) 会長は、解散届けを運営委員会に諮り、理事会の承認を得る。
(3) 活動実績がない、活動報告がされないなどの場合、理事会は部会を解散させることができる。
(4) 「部会交付金」を支給されている部会が、期中で解散するときは、上記 (1) に先立ち、会計報告を行い、監査を受けなければならない。

9. 付属資料
(1) 部会設立申請書 (Word、29KB)
(2) 交付金申請書 (Word、28KB)
(3) 交付金報告書 (Word、31KB)
(4) 研究会年間実施計画 (概要) (Word、27KB)
(5) 研究会企画・運営計画書 (Word、36KB)
(6) 部会解散届け (Word、27KB)
(7) 部会交付金の支給基準 (PDF、13KB)