開催概要

開催日 2000年12月09日(土) 

外国語教育研究部会第1回研究会

去る2000年12月9日 (土) の午後、立命館大学びわこくさつキャンパス (滋賀県草津市) のアクロスウイング情報語学演習室1を会場に、第1回研究会が開催され、東京、長野、金沢、名古屋、神戸など遠方よりの参加者も含め、事前登録者の32名を大幅に超え、総数41名となり盛会であった。そのうち4名が新会員となってくれた。

まず、野澤 和典 (CIEC 外国語教育部会共同発起人代表 & 理事;立命館大学) の挨拶と「CIEC と外国語教育部会」についての簡単な説明で始まった。最初の話題提供者である三根 浩先生 (CIEC 理事;同志社女子大学)は、「KR 情報作成のノウハウ」の題でのもと、まず KR 情報と CAI (Computer Assisted Instruction) の心理学における基本的な学習理論 (試行錯誤学習、プログラム学習、スキナ-理論) についてビデオ・クリップなどを使いながら分かりやすく概説した。そして、CAI で間違いをした時のフィ-ドバックを考える場合、認知科学的な要素が重要となるが、その具体例としてネズミやチンパンジ-での実験結果などを引用しながら、刺激反応パタ-ンでの学習が中心だった LL での失敗を反省し、インタラクテイビテイを活用するマルチメデイア利用の CALL が求められていることを主張した。予定時間を少しオ-バ-するほど沢山の歴史的・体験的情報で熱弁を振るった。

次に、ビラ-ル・イリヤス先生 (立命館大学) が「中国語 CALL 教材の実践と諸問題」と題して、コンピュ-タを用いることの意義を示した後、Java と JavaScript で独自に開発し、チ-ム・ティ-チング実践利用中の中国語 CALL 教材 (発音、スキット・例文の読み練習、リスニング、文法ドリル、単語学習) についてデモンストレ-ションをしながら、実践や開発にまつわる話をした。特に問題点として、ソフト開発とその実践においてフォント (文字化け) や開発者の労力、開発スタッフの不足や実践教師のスキルなどの問題が指摘され、今後の改善課題を再認識させられた内容であった。

15分ほどの休憩後、「中検問題のデジタル化と共有 - XML による構造化と応用ソフトへの組み込み-」の題のもとで、山崎 直樹先生 (大阪外国語大学) が「 XML を用いた中国語検定試験問題の電子化」、 林 要三先生 (手塚山大学) が「 TIES と XML による教材の共有」、樋口 昌敏先生 (同志社大学) が「中検問題のデジタル化 - XML による構造化と応用ソフトへの組み込み:応用ソフトの設計-」の順にデモンストレ-ションを交えながら、話題提供をされた。まず山崎先生は、日本中国語検定協会の許諾を得た試験問題 (3級・4級レベルの読解問題) の電子化プロジェクトについて、これまでの開発経過、CSV 形式によるドリル型問題の欠点を指摘し、XML による構造化テキストの意義と有効性を説明した。さらに HTML および XML の特徴を概説後、具体的な構造化の例を示しながら、その利点 (helpファイルの提供など) を強調した。 次に、林先生が教育・学習支援システムおよびマルチメデイア教材作成の支援ツ-ルとしての "TIES" の概略、キ-・コンセプト (教材作成の簡便性、教材の共有、教材作成者とプログラム開発者の分業) と環境、さらに具体的な教材作成の現状と今後の展開について、"TIES2" から "TIES 3" への改良点 (表示メニュ-、公開度、SQL から XML へ、ロ-カル TIES の構想、SQL から"なまず"へ)、や課題 (中国語直接入力、異種タグの転換、異種教材作成ツ-ル間のデ-タ交換) を説明した。

さらに、樋口先生が XML 化されたデ-タの活用の例として Web クラアント・アプリケ-ションを JavaScript で作成しデモンストレ-ションをする予定であったが、会場のコンピュ-タにブラウザ (Internet Explorer) がインストールされていなかったためできなかった。しかし、ハンドアウトで大まかな内容は理解できたが、参加者のイメ-ジを喚起しながらの説明になったのは非常に残念で主催者側の準備不足を反省している。 中国語フォントの関係で、一部表示がされなかったり、使う予定だったソフトウエアが利用できなかったりして、プレゼンテ-ション自体に影響を与えてしまったが、ハンドアウトで代用し、最悪の事態は避けられたのが唯一の救いであった。次回以降への教訓としておく。

再度の休憩後、松田 憲先生 (CIEC 理事;立命館大学) と吉田 晴世先生 (CIEC 理事;摂南大学) の司会のもと、「外国語教育における IT 利用の諸問題」とした質疑応答がされたが、各話題提供者の内容に対する質疑応答を優先して行った後、英語 CALL を含め自由な関連事項への話題と移り、フロア側からも情報・意見が次々と出され、予定時間をオ-バ-するほど盛会であった。

第1回目の研究会は、内容的に中国語関係が多い結果となったが、CALL における教材開発の基本的な視点の再確認と最新技術を取り入れた教材作成方法などが理解できたと同時に、CIEC のユニ-クさでもある異分野交流ができ、今後につながる研究会であったと言える。

(文責 野澤 和典)

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