外国語教育研究部会 第4回研究会報告
開催概要
開催日 | 2002年3月16日(土) |
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外国語教育研究部会第4回研究会
外国語教育研究部会第4回研究会は去る3月16日 (土) 午後1時30分から同5時まで、青山学院大学渋谷キャンパスで行われた。今回のテーマは「e-learning の動向と外国語教育」であった。前回の北九州に比べて東京開催という地の利があったせいか、あるいはテーマがより話題性に富むものであったせいか、開催通知を ML、ニューズレター等で出した直後から申し込みが相次いだ。最終的には、数名の欠席者があったものの、当日参加申し込みの方も含めて32名 (内訳は大学教員17名、他 (専門学校) 教員5名、企業他10名) の参加者があり、ほぼ予想通りの人数となった。
今回の研究会は、昨年同時期に開催した第2回研究会が好評であったこともあり、ワークショップ形式を中心とした実践的な内容の企画を検討した。講師については、研究会テーマに沿った製品を開発・提供している企業の技術または営業担当者から適任者を探し、NTT ラーニングシステムズ社 (http://info.nttls.co.jp/) インターネット事業部の高木成一氏をお招きすることにした。また、研究会会場として、一定台数の講習向け PC が利用できる教室を会場校側で当たっていただいた結果、情報教育向けの演習室をお借りすることができた。ただし、残念ながら、PC 端末の利用者権限の関係で、参加者全員が直接体験版のアプリケーションツールを操作しながら利用方法を学習する環境は実現できなかった。
研究会の冒頭で、会場を提供していただいた青学大の小張先生から自己紹介を兼ねて授業実践の口頭発表がなされた (詳細は報告末尾の発表要旨を参照) 。その後、講師の高木氏からまず最近の e-learning 関連のウェブサービスについて、様々な配信方法と適用分野での事例を引用した形での講演が PowerPoint を用いて行われた。特に、広帯域インターネットの普及に伴い、ウェブ上で閲覧できる学習内容が単なる HTML 文書やイメージ情報を主体とする「静的」コンテンツから講演ビデオ、視覚効果を巧みに利用したプレゼン資料など「動的」コンテンツに移行しつつあることが如実に示された。また、ライブ映像を利用した e-learning システムの新しい提案として「電網会議室」の紹介も行われたが、こちらは従来の CU-SeeMe や NetMeeting との相違点が、画質・音質の向上、通信の安定性、WAN (Wide Area Network) 環境への対応等を除いて際だったものがなく、ライブ授業で共有できるファイル形式も限られているなど、具体的な用途は未知数という印象であった。
以上の講演に引き続いて、ウェブ上で教員自身が動画・音声・文字情報を組み立て、教材として役立てるためのツールとして「SMIL Editor ver. 2.0」の紹介と、同ツールを実際に使ったデモンストレーションが高木氏によってなされた。このツールは、W3C (ウェブの国際標準規格を制定する公益団体) が HTML の限界を克服するための親規格として推奨している XML に準拠して策定された SMIL (スマイル) 言語を用い、素材の配置および時間同期スクリプトを自動生成するアプリケーションである。このツールの大きな特徴は、上記の SMIL 言語自身に関する知識を全く持たない初心者でも、ウィンドウ上のアイコン操作と一連のボタン、メニュー選択だけでマルチメディア型 e-learning 教材が作成できることである。今回の研究会では、上述の会場機器の利用制限と事前準備不足のため、参加された先生方にサンプル素材を使用して実際に簡単な教材を作成していただくことはできなかった。しかしながら、今後 SMIL Editor と同様の「直観的」な操作性を保ちながら、より強力な e-learning 教材作成を可能にするツールが出現するのではないかという期待を抱かせるには十分な内容であったように思われる。最後に、参加した先生方の反応として、外国語教育向けのオンライン教材作成には、今回紹介された SMIL Editor よりもさらに汎用性・拡張性の高いツール、例えば IBM HP Builder に匹敵するような操作性に優れた XML エディタが必要である、という意見があった。
(発表要旨)
「ITと世界観教育」
この発表では、「演習」と「英語とインターネット」のクラスで指導してきたことを報告する。コンピュータを使用し、情報を獲得、分析、統合することにより、知的枠組みを構築しながら、英語の表現力と世界観を養うものである。オックスフォード大学、イー博士の世界観モデルを学ぶことにより、物の見方、考え方を訓練し、自分自身の世界観をより具体化していく。インターネットで獲得した情報や、講義で学んだ世界観を整理しまとめ、PowerPoint で発表をし、それをホームページにリンクさせる。一連の学習活動を通して、知の枠組と体系を作っていくものである。
インターネット上の情報のほとんどは英語であり、今後ますます読み、書き、発信型の英語力が必要となろう。英語検定試験 (TOEIC、TOEFL、IELTS、英語検定、国連英検、その他) に高得点を取ることが社会からも要求されている。特に、英語の読解力、情報を入手するための英語力、作文力、英語で情報を処理、分析、統合する能力、英語で知的枠組みを再構築し、英語で情報を発信する能力、すなわち、各自がホームページを作成して、学習してまとめたものを Html 形式、PowerPoint 形式、PDF ファイル形式で保存し、リンク集を作成し、そこからいつでも必要な情報を引き出し、日英の言語で自由に発表できる能力が必要とされる。このような一連の学習過程と活動を通して、自ずと頭の中に、Thinking network process を構築していくのである。21世紀に生きる人類にとっては、総合的な英語力を養い、デジタル化した社会に強い人間になることが要求されている。
IT 革命後、現代社会はブロードバンドの時代に突入して、マルチメデイアネットワークやインターネットなどの情報通信技術を活用した教育が、日本における21世紀の高等教育のあり方を大きく変えようとしている。IT 革命の時代に対応したサイバーキャンパスの先端的な実践大学が増加している中で、サイバーキャンパス教育方法開発の一つとして、世界観教育における Virtual Reality の必要性がある。
いつでも、どこでも、情報を交換できるような、ユビキタスの時代には、双方向のコミュニケーションも必要である。インターネットとコンピュータの導入により、さらに幅の広い、多角的な言語活動が可能になる。世界の情報をインターネットからダウンロードすることにより、メデイアリッチな手段と方法を考え、学生のやる気を引き起こし、「自分で物を考え、調べ発表する訓練」をしていくには、コンピュータを利用し、Virtual な言語活動をしていくことが重要であろう。
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