第26回 2021PCカンファレンス受賞者喜びの声 (2) U-18研究奨励賞
2021PCカンファレンス最終日の8月23日(月)に分科会表彰式が行われ、大会実行委員長の若林靖永CIEC会長理事から各賞の受賞者に対して表彰状が読み上げられました。Special第26回では、受賞者の皆さんの「喜びの声」を、(1)論文賞と(2)U-18研究奨励賞に分けてお伝えします。
U-18 研究奨励賞は、本年度から始まった高校以下の発表セッションに対する表彰です。投稿された論文10本を対象に、U-18 分科会座長2名と大会実行委員4名による論文審査、プレゼンテーション審査の2つの視点による厳正なる採点を経て、優秀賞1本、奨励賞4本が選出されました。
2021PCカンファレンスU-18 優秀賞
聖徳学園高等学校3年 東谷優里
「国際交流ボランティアでのzoomを使った諸外国との繋がり」
授賞理由
プレゼンテーションにおいて、自分の言葉で伝わるように話すことができた。自分の言葉を使って伝えているため、発表内容に対する自信が窺えた。質疑応答においても、自分の意見を述べられたことが評価された。
今回はこのような賞を貰えて嬉しい気持ちでいっぱいです。私がこのような発表をできたのも、私たちの活動を見守ってくれている学校、協力してくれる先生、そして聖徳学園国際交流ボランティアのメンバーのお陰です。国際交流ボランティアの活動は、事前に資料を調べて活動結果が分かるわけでもなく、お手本があるわけでもありません。どんな状況でも、たくさんの課題にぶつかりながら、私とメンバーの『想い』を行動源にして活動を続けました。過去の活動の反省を生かして次の活動に繋げていくことは、代々続けてきたことですが、今回、PCカンファレンスがきっかけで、活動内容や参加者の反応をさらに考察することができました。活動方法としてのメリットやデメリットと今後の展望を深めることで、新たな課題や新しい試みを見つけることもできました。私自身、今後も聖徳学園国際交流ボランティアの団員として活動できる時間を大切にして、大学進学後は更なる国際交流の可能性を研究していこうと思います。改めて、このような機会を頂き、本当にありがとうございました。
2021PCカンファレンス U-18 奨励賞
穐山颯河, 大津輝渡, 岡本進平, 松本虹輝(長崎県立長崎南高等学校)
「Arduinoを用いた視覚障害者支援装置の製作」
授賞理由
興味関心を持って試作機をつくり、新たな課題を見出すことができた。発表において、自分たちで考えたものが不十分であることに自ら気づいていることが伝わり、それが評価された。
この度は、U-18奨励賞という名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。私たちはSSH(※下記参照)の課題研究で「Arduinoを用いた視覚障害者支援装置の製作」について研究をしてきました。以前より、視覚障害者の方の自動車や電車との接触事故が発生している社会問題に対し、高校生である私たちでも解決への力になれるのではないかと考え研究を進めてきました。研究をこのような形で評価していただいたことを大変ありがたく感じています。
大会運営をしていただきましたCIECの皆様、Arduinoのアドバイスを頂いた長崎総合科学大学の蒲原新一教授、そして日ごろの研究指導をしてくださった長崎南高校の先生方に心より感謝申し上げます。この度は誠にありがとうございました。
※ SSH(Super Science High school)とは、文部科学省が将来の国際的な科学技術関係人材を育成するため、先進的な理数教育を実施する高等学校等を認定し支援する制度。
【国立研究開発法人科学技術振興機構】次世代人材育成事業 スーパーサイエンスハイスクール
小林 麟太郎(兵庫県立小野高等学校)
「高齢者ドライバー運転支援アプリケーションの開発」
授賞理由
高校生であるため自ら自動車を運転することはないが、高齢者の立場になって支援するシステムの構築を試み、プログラムに関心を持ってシステムを作り上げたことが評価された。
この度は素晴らしい賞をいただきありがとうございます。
本研究では高齢者の事故件数削減のためのアプリケーション開発という目的で研究を進めてきました。実際に高速道路等で実証実験を重ねるなど実用化を目指して様々な取り組みを進めてきました。今後は新たな機能の開発を行うとともに、車に搭載できる標準機能として完成を目指したいと思います。
また、キラメックス株式会社運営のTech Academy奨学生制度に採択され、メンターの方々にご指導いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
池邉 智也, 西村 悠生, 山口 夏巳(兵庫県立小野高等学校)
「形態分析 vs 分子系統解析―スミレ属の分類検討―」
授賞理由
論文においてはテンプレートに沿った記述がなされ、内容の誤りをプレゼンテーション時にきちんと口頭で修正していた。また、分析手法および考察の記述が評価された。
この度はこのような名誉ある賞を頂き、ありがたく思います。
私たちは、形態的に似通っているスミレ属の分類を見直すべく、代々研究に取り組んできました。分子系統解析や形態観察、分布と地質の関係を地理的情報システムで調べるなど、多くの手法を用いて研究を進めています。COVID-19の影響で思うように実験・調査が行えませんが、時間を効率的に使い、より一層スミレ属に迫っていきます!
平野 佑晟, 大森 藤輝, 市村 歩夢 (栃木県立栃木高等学校)
「学習用動画の再生回数と学習目標の提示の関係について」
授賞理由
執筆者自身の体験をもとに動画の分析をおこない、新たな課題を見出しており、質疑応答においても自らの考えや視点などを共有できた点が評価された。
この度は奨励賞をいただき、ありがとうございます。私たちSSHクラブ学習科学班は今回、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で需要や実施の必要性が高まっているオンライン学習の分野に着目し、検証を行いました。
オンライン学習は私たちにとっては初めて取り組む未知の分野であり、検証のための観点をどのようなものにすればよいか、どのようにデータを処理すべきかなど何度も検討を重ね、研究を進めました。試行錯誤を経て仲間とともに作り上げたこの研究論文を評価していただき、大変うれしく思います。
今回のPCカンファレンスでは、様々な知見を得ることができ、多くの助言をいただきました。この経験、そして今回の受賞の喜びを励みにさらに検証を進めてまいります。PCカンファレンスを運営してくださった皆様、本検証に携わってくださった本校の生徒や先生方をはじめとするすべての皆様、ありがとうございました。
U-18 研究奨励賞 受賞者の皆さん、おめでとうございました。
PCカンファレンス分科会の表彰は来年度も実施予定です。
たくさんの応募をお待ちしております。
U-18セッションへの思い
U-18のセッションは、新学習指導要領の総合的な探究の中間発表の場として新たに設定されました。実施の方法は、春季研究集会と同様、論文とポスターセッションで発表する予定でしたが、オンラインでの開催に伴い一般発表と同様、zoomによるプレゼンテーションの形式で実施されました。
今回の応募状況は、10件の投稿でした。発表は、プログラミングと総合的探究のパラレルでおこなわれました。それぞれの発表は、身近な事柄を課題として設定し、関心を持って探究活動をおこなっていることが伝わって来ました。今後も、色々なことにチャレンジをして今回のような発表が増えることを期待しています。
中高生には難しいと思われますが、レポートの書き方に慣れていないため論文の記述が課題であると感じています。参考文献がwebの情報のみのものが多く存在するため、文献の探し方やレポートの書き方について学ぶ場を提供する必要があるのではないかという意見が審査員の中から出されました。
以上のような課題はあったものの、探究活動の成果を発表する経験は貴重であり、その活動を後輩に残すという視点も大切にしたいと考えています。その際、ライティングのスキルを身につけることは大学進学、社会に出てからも必要となるスキルであり、中等教育の機関に基礎的な経験を積むことは大切であると考えています。このような生徒の学びの場は、小中高部会の研究会やサタデーカフェにおいて、生徒の発表がおこなえる場を設ける必要ではないかと、小中高部会で議論となりました。
今後も、探究活動を楽しんで取り組んでもらい、その成果を発表する場としてPCカンファレンスが選ばれるように小中高部会としても活動してゆきたいと思います。
春季カンファレンス2022もU-18のセッションが設けられる予定です。
今回の研究を更にポリッシュアップして応募いただけると幸いです。