2021PCカンファレンス最終日の8月23日(月)に分科会表彰式が行われ、大会実行委員長の若林靖永CIEC会長理事から各賞の受賞者に対して表彰状が読み上げられました。Special第26回では、受賞者の皆さんの「喜びの声」を、(1)論文賞 と (2)U-18研究奨励賞 に分けてお伝えします。

最初は論文賞に輝いた皆さんの声です。論文賞は、投稿された一般・学生論文84本を対象に、全分科会座長と分科会担当委員の計20名による1次選考、大会実行委員8名による2次選考・最終投票という厳正な審査を経て、最優秀論文賞1本、優秀論文賞1本、学生論文賞1本が選出されました。


2021PCカンファレンス最優秀論文賞

木村修平・近藤雪絵(立命館大学)・神谷健一(大阪工業大学)・坂本洋子(獨協医科大学)・神崎秀嗣(秀明大学)・長谷川元洋(金城学院大学)
「オンライン授業の相互見学による大学横断型FDの可能性と課題」

授賞理由
FDの新たな手法として、他大学のオンライン授業を見学し相互にフィードバックする意欲的な実践であり、今後の課題や展望についても考察され、有用性が高い。


(上段左から)近藤雪絵さん、木村修平さん、神谷健一さん、(下段左から)長谷川元洋さん、神崎秀嗣さん、坂本洋子さん


この度は最優秀論文賞にご選出いただき、誠にありがとうございました。今回の論文では、オンライン授業を異なる所属、異なる専門分野の教員同士が相互見学し、フィードバックを与えあうことで授業の質的向上が図れる可能性を報告しました。現状、オンライン授業はコロナ禍により対面授業の代替手段として採られていることが多いと思いますが、私どもはオンラインであることをポジティブに捉え、対面授業では時間的、距離的にハードルの高い授業見学を積極的に行った手法を評価していただきました。今回の受賞により手応えを感じることができましたので、より大きな研究プロジェクトに発展させていければと思います。なお、個人的な話になりますが今回のPCカンファレンスは私が参加してちょうど10年目にあたります。こうした節目の大会でこのような賞に選出していただけたことを大変光栄に思います。

(代表者:木村修平 <立命館大学 生命科学部 生命情報学科 准教授>)


2021PCカンファレンス優秀論文賞

加藤浩治(平成国際大学)
「大学生のオンライン授業受講状況に関する調査 -学生たちのPC作業環境と健康状態について-」

授賞理由
学生の心身の健康面に焦点を当てた調査は興味深く、オンライン教育独特の授業計画の必要性を示唆している。

この度は、2021PCカンファレンス優秀論文賞にご選出いただきまして、誠にありがとうございました。たいへん輝かしい賞でありますので、執筆の苦しさが吹き飛ぶほど光栄でございます。


2021PCカンファレンス優秀論文賞受賞者の加藤浩治さん

このアンケート調査は、COVID-19対策としてオンライン授業を受ける学生から苦痛が寄せられたため、手続きを取ってGoogleフォームで実施しました。599の回答結果は、一連続のPC作業時間が3時間超との回答37.0%、眼の不調80.7%、首肩の不調68.8%をはじめ、想像を超える学生の苦しみを示すものでした。また、最後に設けた自由記述欄に、「現状を聞き取ってくれて感謝」「これを大学に伝えてくれるのですよね」といった言葉が並んでいました。これを受け止めた集計結果を2021PCカンファレンスで発表させていただきまして、深く感謝しております。

PCカンファレンスの皆様には、今回も本当にお世話になりましたが、どなたもとてもお優しいですね!これからのICTはPCCのように温かくハートを交換しうるような発展に期待しております。 改めまして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


2021PCカンファレンス学生論文賞

奥野琳太郎(東京理科大学)・高橋風樹(鎌ヶ谷市立鎌ヶ谷中学校)・市川寛子(東京理科大学)
「板書の主要領域への注視の違いによる授業受講者の理解増加度の差」

授賞理由
中学校理科の授業時における生徒の視線をアイトラッカーによって測定した実践事例の報告となっており、学習時の客観的データに基づいた新たな取り組みである。

この度は、2021PCカンファレンス学生論文賞に選出して頂き誠にありがとうございます。ご指導頂いた先生、共著者の方、実験に参加して頂いた方々、査読や選考に携わった全ての方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。


(左から)奥野琳太郎さん、高橋風樹さん、市川寛子さん

今回受賞の対象となった研究は、2020年度東京理科大学理工学部応用生物科学科の卒業研究として高橋風樹さんが実施された内容をまとめたものです。視線計測を活用した授業改善の可能性を感じた一方で、大学生ではなく小中高生でも、板書の主要領域への注視が長いほど授業の理解度が上がるかは、まだ明らかではありません。新型コロナウイルスの感染流行のため、学外の方に研究に参加していただくことは未だ難しい状況下ですが、今後もし機会があればぜひ検討していきたいと思います。

最後に私自身、こういった学会発表の場に参加することは初めてで緊張もありましたが、温かいコメント、激励を頂きとても貴重な経験となりました。今回の受賞を励みに今後の研究活動に精進していきたいと思います。今後とも何卒宜しくお願い致します。

(代表者:奥野琳太郎 <東京理科大学理工学部応用生物科学科4年>)


論文賞受賞者の皆さん、おめでとうございました。
PCカンファレンス論文賞の表彰は来年度も実施予定です。
たくさんの論文投稿をお待ちしております。