会長 妹尾堅一郎
2010年8月

設立の趣旨

1996年に本会を設立した際、次のように決められました。

「本会の名称は、CIEC (シーク) とする。CIECは " Council for Improvement of Education through Computers " の略称であり、日本語訳は「コンピュータ利用教育協議会」とする。」

これは、コンピュータは単なる計算機として使用されるだけではなく、新しい教育や学びの環境を形成するものであるという点について、多くの分野の教員等が持った共通の問題意識と実践経験に基づく意見を反映したものだったと言えましょう。

環境の変化

それから15年、コンピュータはスタンドアローン (単体機器) として研究はもとより産業・生活・社会等に当時の想像を遙かに超える役割を果たしているばかりか、さらにネットワークに接続され、メディアとして私たちの日常生活を支える「インフラ」になりました。

例えば、1990年代に多くの人は、パソコンを「個人使用が可能な計算機」として企業の情報化に入り込みました。2000年代にパソコンは「コミュニケーションメディア」として個人生活に浸透しました。そして2010年代、パソコンは、「ネットワークサービスのインターフェイス」として社会メディアインフラを進展させつつあります。

その一方で、教育における関心も、コンピュータをいかに「教えうるか」という観点から、コンピュータネットワークをメディアとしていかに「学ばせうるか」に移行し、そして現在いかにネットワークを介して「学び合い・教え合う」コミュニティを形成しうるか、というプロセスへ重心が移行されつつあると言えましょう。

このような流れの中で、CIECの活動も変容と多様化を続けています。設立当初の名称の持つ意味も、これまた多用な解釈の中で展開をしていると言えます。

また、本会は学術会議に認められた「教育系」の「学会」です (教育工学ではありません)。しかし、「協議会」という名称では「学会」として理解されにくい、という意見が多くの会員から出されていました。

名称の変更

このような状況の下、会員からの意見聴取をふまえて2010年度会員総会で、CIEC (シーク) という名称は従来通り維持するものの、日本語名称と英語名称を変更することを決定いたしました。

日本語訳を「コンピュータ利用教育学会」として「学会」であることを明示しました。

また、英語名称も4点について追加・変更いたしました。

  • 第一に、Improvement (改善:既存モデルの錬磨) から Innovation (創新:新規の画期的モデルの創出) へと変更。
  • 第二に、Computers だけでなく広くメディア全般を活用するという意味も含め communication networks を追加。
  • 第三に、Education という知識伝授がイメージされてしまいやすいニュアンスだけでなく主体的な learning を追加。
  • 第四に、組織の合同であるとイメージされがちな Council から、趣旨を同じくする人々の Community と変更。

これらの追加変更により、" Community for Innovation of Education and learning through Computers and communication networks " に変更しました。

今後の活動

本会の基本的な立場や方向性に変更が加わるということではありません。
会の名称変更をきっかけとして、本会のさらなる活動の発展を会員一同で進めていきたいということが趣旨です。 会員の皆様におかれましては、本趣旨をご理解いただき、CIECの次の発展に向けて各自活動を拡充・加速していただければ幸いです。